相場は読めないものだと心得る

今回は前回の記事で書ききれなかったことについて語ってみます。

相場は読めないものだと心得る

前回の記事では「下落相場の中いつ買うか」について書き、その中でまず第一に相場は読めないものと受け止めることが肝心だということでした。

私自身株式投資を学んできたことで感じたのは、当初投資に抱いていたイメージや世間で抱かれているイメージとその実体とでは結構ギャップがあるなということでした。
その中でも大きく間違ったイメージとして、

「株式投資で儲けるためにはこの先相場がどうなるかを読めなければいけない」

が挙げられます。
恐らくそれは「相場がこれから上がりそうだと思えば買い、そうでなければ控えるor空売りする」ということでしょう。
しかし、相場がこれからどうなるかなど読めるものではありません。
それはノーベル経済学賞を受賞するような経済学者でもです。
問題は当て続けなければいけないことで、一度や二度当てることはマグレで誰にでもできることです。

それでも「相場を読んで儲けてる人がいるじゃないか」って反発があるかもしれませんが、それはそう見せかけている可能性が高いです。

ダイレクトメールで信者を獲得!?

例えば、ダイレクトメールでいかにも相場を当て続けているように装うことができます。

①ダイレクトメールで不特定多数に大量にメールをばら撒きます。半分の人には「明日は相場が上がるので買いです」もう半分には「明日は相場が下がるので空売りしてください」と送ります。

②実際に相場が上がったとしましょう。すると次は上がりますと送った人の半分に同じように「また明日は上がるので買いです」 、もう半分にはこれまた同じように 「明日は相場が下がるので空売りしてください」 と送ります。

これを繰り返すことにより、例えば5日後にはいくらかの人には毎日相場を当て続けたように見えるグループが現れるのです。
相場が上がる確率を50%と仮定すると、5日連続でそれを当てるには2分の1の5乗で約3%の確率を当てたということになります。
このように、実際に相場を当てたわけでもないのに当たったように見せかけることができるのです。

平均への回帰

他にも例えば今でもあるかわからないですが、昔ヤフーファイナンスかなんかでアナリストが相場を当てて「今月は○連勝!」だとか「正解率○○%!!」だとかで祭り上げられているのを見かけたことがあります。
(今もあるんですかね?)

あれも一時的なことでその先もずっと当て続けることなんてできません。
これは「平均への回帰」というものです。
行動経済学者でノーベル経済学賞受賞のダニエル・カーネマンが著書「ファスト&スロー」で平均への回帰に関してわかりやすく述べています。

イスラエル空軍の訓練教官に心理学の指導をしていたときに、教官が「訓練生が曲芸飛行をうまくこなしたときに誉めるとだいたいは前ほどうまくいかず、まずい操縦をしたときにどなりつけるとだいたいは次のときにうまくできる」と言った。
しかしどなりつければうまくいくというのは間違いでこれは「平均への回帰」と知られる現象である。これは訓練生の出来がランダムに変動しただけであって、教官が訓練生を誉めるのは当然ながら訓練生がたまたまうまく操縦できただけだから、次にはそうはうまく行かない可能性が高い。同様に教官が訓練生をどなりつけるのは平均を大幅に下回る不出来だったときだけである。

「ファスト&スロー(上)」 ダニエル・カーネマン著

こんな風にして我々は”まぐれ”を”有能な人”と勘違いしてしまうことがあるのです。

平均への回帰を利用する

しかし、長期投資ではこの「平均への回帰」を利用して儲けるようなところがあります。
ファンダメンタルズを元にした長期投資では価値と価格の乖離に着目してその差で儲けるんでしたよね。
(↓過去記事参照)

その間に株価というのは価値から乖離して上下に(時に大きく)ブレます。
しかし長期的に見れば結局は本来あるべき価格に戻ってきます。
このようにして長期投資では「平均への回帰」を利用して儲けるということなんです。
(厳密に言うとこの場合”平均”ではないですが)

まとめ

株式市場は右も左も分からない人に容赦はしません。
残念ながら人を騙すように儲ける人も存在します。
そんな人達にカモにされないように自分がどうやって儲けようとしているのかを理解し、自分の投資法を確立していく必要があるでしょう。

ポーカーをやり始めて20分たっても誰がカモかわからなければあなたがカモなのだ。

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