書籍紹介シリーズ、「株式投資の未来」という本を紹介しています。
その第3回目。
今回はインデックス投資にも役立つようなことや、「インフレ時代にはやはり株式投資だな」と確信できる内容も紹介します。
書籍紹介「株式投資の未来」~配当・インフレ時代の投資~
株主価値の源泉(配当の力)
第3部は「株主価値の源泉」と題して、配当の大切さを説いています。
みなさんの中にも配当を重視した投資を行っている方もいるのではないでしょうか?
安定した配当というのは計算が立ちやすいのでまずは配当を狙って投資を組み立てるというのもアリですね。
配当は歴史を通じて、株主リターンの圧倒的な源泉となってきた。
ジェレミー・シーゲル 『株式投資の未来』
配当利回りが高い企業ほど、投資家にもたらすリターンも高い。
この事実を証明するためにジェレミー・シーゲルは下記のようなグラフを掲載しています。
S&P500採用銘柄である500銘柄を配当利回りに従って5つに分類し、グループごとに1年間のリターンを算出します。
そして翌年もおなじ手順で5グループを作成し、配当は再投資しています。
1957年の年末に1000ドルで買った結果がこの様になるということです。
極端な話、いくら粉飾決算をやっても儲かっているように見せてもキャッシュがないと配当は出せませんからね。
配当が出せるということは少なくともキャッシュが逼迫して立ち行かなくなる状況ではないということを示しています。
ここまでハッキリと配当の優位性がわかるとインデックス投資家にとっては心強いのではないでしょうか?
高配当利回りのインデックス投資というのもなかなか優位性のある投資といえそうです。
インフレ時代における投資
さて、第4部は「高齢化をめぐる危機と世界経済の力学シフト」と何やら小難しいタイトルがついております。
しかしそんな中でもかなり有用な情報を提供してくれています。
それは、いよいよやってきたインフレ時代における投資についてです。
インフレ時代に投資すべきは株
早速、次のグラフを御覧ください。
これは単純で、1802年に投資した1ドルがインフレ調整後のトータルリターンで換算(キャピタルゲイン・配当・利息を含む)するとどうなっているかを表しています。
200年という人の人生を超える長い期間ですが、なんと1ドルの価値は0.07ドルになってしまっています!!
インフレによってどんどん購買力が落ちているということです。
金でさえおよそ1.4ドルにしかなっていません。
そして一番高いリターンは圧倒的に株式ですね。
やはり長期で見ると株式が圧倒的なリターンを叩き出します。
リスクは?
そして次はリスクについても答えを出しています。
これは1802年から2003年にかけてそれぞれの投資対象を保有期間1・2・5・10・20・30年として、インフレ調整ベースの平均リターンのリスクを示したものです。
ここでいうリスクは標準偏差のことなので、ボラティリティ(価格変動率)と捉えて良いと思います。
これを見ても驚きですね。
株式投資というのは保有期間が長いほどリスクが小さくなっていきます。
そして20年も経つと、どの投資対象よりもリスクが小さくなっています。
ここらからも投資対象としていかに株式が優れているかというのがわかりますね。
ポートフォリオ戦略
最後に第5部「ポートフォリオ戦略」からこれまた有用なグラフを見ていただきます。
これもインデックス投資家にとってはとても参考になるものではないでしょうか。
こちらはGDP成長率と株式リターンの関係を示したグラフです。
“どの国の株式に投資するか?”という問いには当然のように成長率の高い国を選びたくなりますよね?
でも現実はそうではないのです。
GDP成長率の低い国のほうが高いリターンを叩き出しています。
これをジェレミー・シーゲルは以下のように説明しています。
一般概念にしたがえば、なるべく成長率が高い国に投資するのが正解と思える。
ジェレミー・シーゲル 『株式投資の未来』
だがこの通念は、なるべく成長率が高い企業に投資するのが間違っているのと同じ理由で、間違っている。
中国経済はだれがどうみても、どの国よりも急成長している。
だが中国株のここまでのリターンは目もあてられないほどひどい。
株価が高すぎるからだ。
理由は1つ目の記事でも紹介した、「高くなりすぎた成長株では儲けられない」と同じですね。
それは国全体に投資するときにも当てはまるということです。
本当に投資の常識のようなことが覆され、目からウロコですね!
注意すべき点
最後に、この本で語られていることに対する注意すべき点を述べておきましょう。
この本ではセクターで一括りにされて語られることがあります。
例えば「成長株」や「中国への投資」などです。
これは”成長株は儲からない”、”中国株は儲からない”という印象を与えかねません。
では、「成長株への投資はやめよう」などと思ってはいけません。
なぜなら、成長株の中でもイマイチのパフォーマンスで終わる銘柄もあれば、目を引くようなパフォーマンスもあるのです。
要は、一括りに物事を捉えすぎてしまうと間違った理解になりかねません。
高成長している銘柄でも価格が安ければ十分なパフォーマンスは出せます。
中国株でも正しく選べば素晴らしいパフォーマンスを出す銘柄は存在します。
実際、私が投資してきた銘柄の殆どは成長株です。
そこだけは履き違えないようにこの本を読むと良いと思います。
まとめ
どうでしょう、この本が魅力的に映りましたか?
株式投資に対する考え方が少しでも覆ったでしょうか?
ぜひこの本を読んで投資に対する考えを養っていただけたら幸いです。
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