さて、リンクバルをなぜ購入したのか。
前回からの続きです。
2.他社開催の拡大
リンクバルは街コンジャパンの運営だけではなく自ら街コンの開催も行っていました。
他社開催を掲載することで受け取る手数料と自社で街コンを運営して生み出す利益の二重構造でした。
これが自らの運営ではなく他社からの掲載に力を入れていけばかなり利益が大きくなるだろうなと考えました。
それはなぜでしょうか?
街コンを自ら人件費等かけて運営するより他社の掲載を増やして手数料だけもらう方がはるかに利益率は大きいからです。
こういったビジネスの感覚は非常に大事です。
「他社開催の方が利益率は大きい」とどこかに記載していたわけではありませんが、そうだろうなというのは明らかでした。
購入して実際に他社掲載の割合が増えだすと利益率はどんどん上がり、利益はもの凄いスピードで上がっていきました。
ちなみに他社掲載の割合が増えたことにより利益の伸びはとても上がりましたが、売上の伸びはイマイチになってしまいました。
しかしそれでも株価は利益の伸び以上に上がっていきました。
前述したように株価は売上でも事業の規模でもなく利益の伸びに影響を受けるのです。
■割安度
さて、割安度についてはどうだったのでしょうか。
実はこれもまたこの銘柄がここまで上がった要因の1つなんです。
当時この企業はその年の業績予想を広告費増や本社移転、人員増の影響で横ばいとしていました。
そのため市場はそれを悲観し、株価は低迷していました。
更にこれらの経費のせいで予想EPSは低く、それをもとに計算したPERは30倍となっており、一見すると割高に見えました。
しかし、これらの経費は明らかに将来成長するための投資でした。
しかも本社移転は一過性のものなので来期の利益はもっと伸びるだろうと容易に考えられました。
そして独自のEPSを算出してPERをはじき出したところ当時の株価で15倍程と見積もることができ、成長株としては非常に割安に見えました。
そのため投資に踏み切ることができたのです。
このように市場は時として近視眼的になりがちです。
将来に向けての投資、または一過性の経費により利益が一時的に落ち込むとそれに過剰反応して株価を下げることがあります。
こういうときはバーゲン価格で素晴らしい企業を買うチャンスです。
私もこういった理由で下げた成長株は大好きで何度か儲けさせてもらいました。
株価の変動は翻弄されるのではなく利用するものである
ベンジャミン・グレアム
また、安易に予想PERを飲み込むのは危険でチャンスを逃します。
本当にそのPERを元に投資判断をしていいのか疑ってください。
それは過大評価された利益を元にしたPERかもしれませんし、はたまた一時的な経費によって算出された見かけ上の高いPERかもしれません。
ぜひ合理的な利益を元にしたPERを意識してください。
割安の是正+業績の伸び=株価暴騰
それでは一体なぜリンクバルはここまで株価をあげたのでしょうか?
もちろん業績が順調でそれに反応して株価が上がったからでしょう。
しかしそれだけではありません。
割安だったPERが市場に成長株だと認識されて上がったためというのがもう1つの理由です。
元々PERが割高であれば10倍にもなっていなかったでしょう。
私が個人的に算出したPERは15倍でしたが、そこから40倍以上になりました。
PERが15倍から40倍以上になればそれだけで株価は3倍近くに増えます。
そこに業績の向上でEPSも上がっているのだから株価は10倍になり得たのです。
業績の向上だけではなくその銘柄が市場から見直されることでPERが上昇すればとても大きな株価の上昇をもたらすのです。
やはり割安というのはスバラシイですね。
補足
冒頭で「 街コンそのものを魅力に思ったわけではない」と書きましたが、街コンが成長する必要はなかったということです。
今ある市場の中で街コンジャパンというサイトが伸び、更に他社開催が拡大すればリンクバルの利益は大きくなっていくだろうと考えたのです。
ちなみに最近またこの銘柄を買いましたがこれは最初に買った理由とは違った理由です。
これまた街コンがこれからスタンダードになるとか、発展するとかって見通しではありません。
コロナの収束が見えてきてる中で株価の回復が緩いなというところに目をつけたのです。
このように同じ銘柄を購入するにしてもまるで違う理由で買うということがあるのは面白いところですね。
いかがでしたでしょうか、同じ成長株でも買う理由は違ったり様々な視点から利益をあげることができます。
私はいつも利益がどうやったら伸びていくかに注目しています。
これはとてもうまく行った例ではありますが(だからテンバガーになった)自分の思惑通りに物事が運んで株価が上がると、”してやったり”でとてもうれしいものです。
こんな風に考えを巡らせるのも投資の醍醐味ですね。
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