さて、利益率の低い銘柄に投資することの利点。
前回の記事では利益率の低い銘柄は割安で買え、その利点はディフェンス面とオフェンス面両方にあるとのことでした。
今回は②成長スピードが早いという利点について書いていきます。
利益率の低い銘柄の利点 ②成長スピードが早い
もう既に述べましたが再確認。
利益率が低い銘柄の成長スピードが早いというのはもちろんそこから利益率が上昇していく銘柄での話です。
その理由の1つはもうすでに前回明かしています。
割安銘柄の再評価
それは、割安な銘柄が市場から再評価を受けてPERが上昇するというものでした。
利益率の低い銘柄は市場の期待値が低いためPERが低いものが多い
→しかし何らかの理由で利益率が上昇
→市場が優良銘柄だと判断し期待値が上昇
→買いが優勢でPER&株価上昇
というわけです。
期待値が変化してPERが上昇するだけなので株価の上昇は早いでしょう。
利益の上昇を待つ必要がないので。
しかし、これは大体利益の上昇とやってくることが多いです。
期待値の低かった銘柄が(その期待に反して)利益を伸ばしたことにより再評価を受けて期待値上昇。
それによりPERが上昇するという流れです。
なのでチャートを見ると短期間でアホみたいに上がっている銘柄をよく見ますよね。
それは利益も上がって更にPERも上昇のダブルパンチってのが多いです。
ピーター・リンチは「株価の上昇の大半はわずかな期間で起きることが多い」と言っていますがこういうロジックが理由なのかもしれませんね。
逆に利益が上がっていないのに株価が上昇してPERが上昇したというものには気をつけた方がいいかもしれません。
その上昇はマボロシに終わることが多いでしょう。
利益率の改善による利益上昇
もう1つは利益率上昇による利益増のスピードがとても早いことが挙げられます。
普通の考えだと売上増に連れて利益も同じように上がっていくというイメージですが、利益率も向上させると、もっと急激に利益が上昇します。
実際にどんな風になるのか具体的な数字を用いて見ていきましょう。
①売上のみ増加
まずは売上のみ増加すると利益がどうなるかです。
売上が20%伸び、他の条件が同じなら当然利益も同じように20%伸びます。
複利の力によって5年後の利益は3.0から7.5と2.5倍になりました。
1年目 | 2年目 | 3年目 | 4年目 | 5年目 | ||
売上 | 100 | 120 | 144 | 173 | 207 | 249 |
売上増加率 | – | 20% | 20% | 20% | 20% | 20% |
利益率 | 3.0% | 3.0% | 3.0% | 3.0% | 3.0% | 3.0% |
利益率増加率 | 0% | 0% | 0% | 0% | 0% | 0% |
利益 | 3.0 | 3.6 | 4.3 | 5.2 | 6.2 | 7.5 |
利益増加率 | – | 20% | 20% | 20% | 20% | 20% |
②利益率のみ増加
次に売上は伸びなかったけれど利益率が毎年20%ずつ改善した場合です。
こちらも売上が伸びた時と同様に利益は3.0から7.5と2.5倍になりました。
1年目 | 2年目 | 3年目 | 4年目 | 5年目 | ||
売上 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 |
売上増加率 | – | 0% | 0% | 0% | 0% | 0% |
利益率 | 3.0% | 3.6% | 4.3% | 5.2% | 6.2% | 7.5% |
利益率増加率 | 20% | 20% | 20% | 20% | 20% | 20% |
利益 | 3.0 | 3.6 | 4.3 | 5.2 | 6.2 | 7.5 |
利益増加率 | – | 20% | 20% | 20% | 20% | 20% |
③売上と利益が増加
さて今度は売上と利益が同時に20%増加した場合です。
利益は3.0から18.6へと6.2倍にもなりました!!
1年目 | 2年目 | 3年目 | 4年目 | 5年目 | ||
売上 | 100 | 120 | 144 | 173 | 207 | 249 |
売上増加率 | – | 20% | 20% | 20% | 20% | 20% |
利益率 | 3.0% | 3.6% | 4.3% | 5.2% | 6.2% | 7.5% |
利益率増加率 | 20% | 20% | 20% | 20% | 20% | 20% |
利益 | 3.0 | 4.3 | 6.2 | 9.0 | 12.9 | 18.6 |
利益増加率 | – | 44% | 44% | 44% | 44% | 44% |
利益率が改善するとただ単に売上が増加するときよりも大幅に利益が増加しましたね。
テンバガー等の大化け株を狙うにはこの利益率の改善は必須とも言えるのではないでしょうか?
次回はこの結果をもう少し深堀りしてみたいと思います。
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